オッペンハイマー (2023) ネタバレあらすじ紹介

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オッペンハイマーのあらすじ紹介

【起】オッペンハイマー

若き物理学者J・ロバート・オッペンハイマーがヨーロッパで量子力学の最先端を学び、アメリカに戻ってカリフォルニア大学バークレー校で教鞭を執る姿から物語は始まります。
彼の知的好奇心と野心、そして左翼的な思想を持つ人々との交流が描かれます。
特に、共産党員であるジーン・タトロックとの情熱的だが不安定な関係や、後に妻となるキティとの出会いが、彼の人間的な側面を浮き彫りにします。
同時に、ナチス・ドイツによる核開発の脅威が現実味を帯びる中、アメリカ政府は極秘プロジェクトの指導者を探し始めます。
レオ・シラードらがアインシュタインを説得し、ルーズベルト大統領に核兵器開発の必要性を訴える手紙を送るなど、第二次世界大戦の緊迫した情勢が、オッペンハイマーを歴史の渦中へと引きずり込んでいく過程が詳細に描写されます。
彼の学問への純粋な探求心と、時代の要請との間で揺れ動く内面が、この壮大な物語の序章を告げるのです。

【承】オッペンハイマー

レズリー・グローヴス将軍からマンハッタン計画の科学部門の責任者に抜擢されたオッペンハイマーは、ニューメキシコ州の砂漠地帯ロスアラモスに秘密研究所を設立します。
彼は全米から最高の頭脳を持つ科学者たちを結集させ、ナチスより先に原子爆弾を完成させるという途方もない使命に取り組みます。
このパートでは、科学者たちの純粋な探究心、国家への忠誠心、そして倫理的な葛藤が複雑に絡み合いながら、プロジェクトが猛スピードで進んでいく様子が描かれます。
オッペンハイマーは卓越したリーダーシップで個性豊かな科学者たちをまとめ上げますが、一方で私生活では妻キティとの関係が悪化し、かつての恋人ジーンの自殺という悲劇にも見舞われます。
また、彼の過去の交友関係から共産主義者との繋がりを疑われ、常にFBIの監視下に置かれるというプレッシャーも増大していきます。
巨大な科学的達成へと突き進む高揚感と、それに伴う個人的・政治的な苦悩が並行して描かれ、物語に深い緊張感を与えます。

【転】オッペンハイマー

1945年7月16日、ロスアラモスで行われた人類初の核実験「トリニティ実験」が、本作のクライマックスとして描かれます。
息を詰めて爆発の瞬間を待つ科学者たちの緊張感、そして閃光と轟音、キノコ雲が立ち上る光景は、圧倒的な映像と音響で表現されます。
オッペンハイマーは実験の成功に歓喜し、「我は死なり、世界の破壊者なり」というバガヴァッド・ギーターの一節を脳裏に浮かべます。
この成功は彼に「原爆の父」という栄光をもたらしますが、同時に取り返しのつかないパンドラの箱を開けてしまったという絶望的な認識を突きつけます。
実験成功後、ドイツは既に降伏しており、原爆の使用目的は日本へと向けられます。
広島と長崎への原爆投下という現実を知ったオッペンハイマーは、自らが解き放った破壊力の恐ろしさに苛まれ、罪悪感に苦しむようになります。
彼はトルーマン大統領に核兵器の国際管理を直訴しますが、「私の手は血塗られている」という彼の言葉は一蹴され、彼の苦悩は深まるばかりです。

【結】オッペンハイマー

戦後、オッペンハイマーは英雄から一転、水爆開発に反対したことや過去の交友関係を理由に、赤狩りの標的となります。
物語は、1954年に行われた彼の機密情報取扱資格の聴聞会と、1959年のルイス・ストローズの商務長官承認公聴会という2つの時間軸を交錯させながら、彼の失脚の真相に迫っていきます。
ストローズは、かつてオッペンハイマーに公の場で恥をかかされたことを根に持ち、執拗に彼を陥れようと画策していました。
聴聞会でオッペンハイマーは、同僚や妻からも裏切りの証言をされ、公職から追放されてしまいます。
彼の栄光と没落が、冷戦という時代の大きなうねりの中で克明に描かれます。
映画の最後、オッペンハイマーはかつてアインシュタインと交わした会話を回想します。
それは、彼らの研究が世界を破壊する連鎖反応を引き起こしてしまったという会話でした。
水面に広がる波紋のように、彼がもたらした影響が世界に広がり続けることを示唆し、観客に重い問いを投げかけて物語は幕を閉じます。

オッペンハイマーの感想

この映画は、一人の天才科学者の栄光と没落を通して、科学技術の持つ圧倒的な力と、それに関わる人間の倫理的責任という普遍的なテーマを鋭く問いかけてきます。
クリストファー・ノーラン監督は、カラーの主観的な視点とモノクロの客観的な視点を巧みに織り交ぜ、複雑な時間軸を駆使することで、オッペンハイマーの内面世界と彼を取り巻く政治的状況を見事に描き出しました。
特にトリニティ実験のシーンは、息を呑むほどの緊張感と映像美、そして爆音を排した静寂の演出が、核の恐ろしさを皮膚感覚で伝えてきます。
キリアン・マーフィーの、知性と脆さ、野心と後悔を体現した神がかった演技は圧巻の一言です。
彼が作り出したものが広島・長崎で現実となった後の、勝利のスピーチで民衆の歓声が悲鳴に聞こえる幻覚を見るシーンは、彼の罪悪感を痛烈に表現しており、最も印象に残りました。
鑑賞後は、科学の進歩がもたらす光と影について深く考えさせられ、畏怖と悲しみが入り混じった複雑な感情に包まれました。

オッペンハイマーのおすすめ理由

脚本、演出、演技、音楽、編集の全てが最高水準で融合し、3時間という長尺を全く感じさせない没入感を生み出しているためです。
特に、キリアン・マーフィーのキャリア最高と断言できる演技と、IMAXカメラで撮影されたトリニティ実験の圧倒的な映像体験は、映画館でしか味わえない芸術の域に達しています。
歴史的事実を扱いながらも、複雑な人間ドラマとサスペンスフルな政治劇として見事に昇華させており、観る者に強烈な問いを投げかける力を持った、まさに傑作と呼ぶにふさわしい作品です。

オッペンハイマーのその他情報

第96回アカデミー賞において、作品賞、監督賞(クリストファー・ノーラン)、主演男優賞(キリアン・マーフィー)、助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr.)、撮影賞、編集賞、作曲賞の主要7部門を制覇しました。
その他、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞など、数々の映画賞で作品賞、監督賞を含む多数の賞を受賞し、批評家・観客双方から2023年を代表する映画として絶大な評価を受けています。

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