パーフェクト・ワールド (1993) ネタバレあらすじ紹介

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パーフェクト・ワールドのあらすじ紹介

【起】パーフェクト・ワールド

1963年のテキサス。
刑務所を脱獄したブッチ・ヘインズは、相棒のテリーと共に民家に侵入し、そこにいた8歳の少年フィリップを人質に取って逃走を開始します。
厳格なエホバの証人の家庭に育ち、ハロウィンなどの楽しみを禁じられてきたフィリップにとって、この出来事は未知の世界への扉でした。
一方、テキサス・レンジャーのレッド・ガーネットは、犯罪心理学者のサリー・ガーバーらを伴い、最新鋭の指令車で追跡チームを率います。
レッドは、かつて自分がブッチを少年刑務所に送ったという過去があり、今回の事件に個人的な責任と複雑な思いを抱えていました。
こうして、逃げる脱獄犯と人質の少年、そして彼らを追う老練な追跡者の、それぞれの思惑が交差する逃避行が幕を開けるのです。

【承】パーフェクト・ワールド

ブッチとフィリップの逃走の道中、二人の間には次第に父と子のような奇妙で温かい絆が芽生えていきます。
ブッチはフィリップに、これまで経験できなかったハロウィンのお化けの仮装をさせたり、万引きの仕方を教えたり、車の運転を体験させたりと、歪んだ形ながらも彼に自由と子供らしい楽しみを与えます。
フィリップもまた、粗暴な面を見せつつも自分を庇護してくれるブッチに、不在だった父親の面影を重ね、心を開いていきます。
しかし、道中で相棒のテリーがフィリップに危害を加えようとしたため、ブッチはためらうことなくテリーを射殺してしまいます。
これにより、ブッチは単なる誘拐犯から殺人犯となり、追跡はより一層厳しさを増すことになります。
二人の旅は、失われたものを取り戻すかのような、束の間の「完璧な世界」でした。

【転】パーフェクト・ワールド

アラスカを目指す逃避行の途中、ブッチとフィリップは立ち寄った農家で黒人一家と心を通わせ、穏やかな時間を過ごします。
しかし、その家の主人が孫の少年に暴力を振るうのを目撃したブッチは、自身が父親から虐待された辛い過去の記憶がフラッシュバックし、激しい怒りに駆られます。
ブッチはその男を縛り上げ、銃を突きつけますが、その暴力的な姿に恐怖を感じたフィリップは、ブッチから密かに奪っていた銃で彼の腹部を撃ってしまいます。
敬愛していたブッチの恐ろしい一面を目の当たりにし、そして自らが彼を傷つけてしまったことで、二人の間に生まれた信頼関係と束の間の完璧な世界は、決定的に崩壊するのでした。
フィリップはブッチの元から逃げ出し、物語は悲劇的な結末へと向かっていきます。

【結】パーフェクト・ワールド

フィリップを追いかけたブッチは、ついにレッド率いる追跡隊に広大な草原で包囲されます。
レッドは狙撃手の配置に反対し、ブッチを投降させようと必死に説得を試みます。
ブッチはフィリップを解放し、母親から託された絵葉書とこれまでの逃走で手に入れた現金を彼に渡します。
そして最後に、フィリップがずっと欲しがっていたお化けのキャスパーの仮装マスクをプレゼントとして渡そうと、ポケットから取り出します。
しかし、その動きを銃を取り出したと誤解したFBIの狙撃手が、レッドの制止を無視してブッチの胸を撃ち抜いてしまいます。
ブッチはフィリップの目の前でゆっくりと倒れ、息絶えます。
母の元へヘリで運ばれるフィリップは、ブッチの死を悲しみ涙を流し、レッドはまたしても少年を救えなかった無力感に打ちひしがれるのでした。

パーフェクト・ワールドの感想

「パーフェクト・ワールド」は、完璧な世界などどこにもないという痛切な真実を描きながら、父性の不在というテーマを深く掘り下げた傑作です。
クリント・イーストウッド監督の抑制の効いた演出は、テキサスの広大な風景の中で展開される逃避行に、切ない詩情を与えています。
特に、脱獄犯ブッチ役のケビン・コスナーが見せる、暴力性と父性的な優しさという二面性の表現は圧巻で、彼に心を開いていく少年フィリップ役のT・J・ローサーの自然な演技が、二人の関係性の説得力を高めています。
最も胸を打つのは、ブッチがフィリップにプレゼントを渡そうとした善意の行動が、悲劇的な結末を招いてしまう最後のシーンです。
このやるせない幕切れは、観る者の心に深い哀愁と、二人の間に確かに存在した束の間の「完璧な世界」への愛おしさを刻み付けます。

パーフェクト・ワールドのおすすめ理由

ケビン・コスナーが演じるブッチの、悪人でありながら父性を感じさせる複雑なキャラクター造形と、それを追うクリント・イーストウッド演じるレッドの苦悩という、二つの視点から描かれる物語が非常に奥深いからです。
ロードムービーの形式を取りながら、犯罪者と人質の少年の間に芽生える奇妙な絆を感動的に描き、観る者に強い感情移入を促します。
特に、善意が誤解によって最悪の悲劇を生むという皮肉に満ちた結末は、タイトルの「パーフェクト・ワールド」の意味を問いかけ、忘れがたい強烈な余韻を残します。
脚本、演出、演技の全てが高水準で融合した、アメリカ映画史に残る人間ドラマの傑作であるため、この評価としました。

パーフェクト・ワールドのその他情報

本作はアメリカ本国での興行成績は伸び悩んだものの、フランスの権威ある映画雑誌「カイエ・デュ・シネマ」で1993年の年間ベストワンに選出されるなど、特にヨーロッパで極めて高い評価を受けました。
現在ではクリント・イーストウッド監督のフィルモグラフィにおける最高傑作の一つとして、また90年代を代表する感動的なロードムービーとして、世界中の批評家や映画ファンから根強い支持を集め続けている作品です。

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