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キャスト
少年の君のあらすじ紹介
【起】少年の君
大学統一入試を控えた高校3年生のチェン・ニェンは、いじめを苦に校舎から飛び降り自殺した同級生の遺体に、そっと自分の上着をかけます。
しかしその行為がきっかけで、彼女自身がいじめの新たな標的となってしまいました。
リーダー格のウェイ・ライを中心としたグループからの嫌がらせは日々エスカレートし、ニェンの精神は追い詰められていきます。
そんな絶望的な日々の中、彼女はチンピラに絡まれていたところを、不良少年のシャオベイに助けられます。
警察も学校も頼りにならないと悟ったニェンは、シャオベイに「私を守って」と懇願し、彼は彼女のボディガードを引き受けることになります。
孤独な魂を持つ二人は急速に惹かれ合い、暗闇の中で互いを唯一の光として見出し始めるのでした。
【承】少年の君
シャオベイはニェンの影となり、毎日彼女の登下校を見守り続けます。
彼は「君は世界を守れ、俺が君を守る」と誓い、二人の間には恋愛感情を超えた、共犯者のような深く強い絆が育まれていきました。
二人は廃墟となった家で共に時間を過ごし、ニェンが北京の大学へ行くという夢を語り合います。
それは、この息の詰まるような街から抜け出すための唯一の希望でした。
しかし、いじめっ子たちの執拗な攻撃は止みません。
ある日、ニェンは体育倉庫で集団リンチに遭い、髪をめちゃくちゃに切られ、屈辱的な動画まで撮影されてしまいます。
その夜、ニェンの無残な姿を見たシャオベイは、彼女と同じように自らの頭をバリカンで丸刈りにし、彼女の痛みと絶望を分かち合うのでした。
【転】少年の君
大学統一入試の前日、いじめの主犯格ウェイ・ライがニェンの前に現れ、しつこく謝罪をしようとします。
口論の末、揉み合いになったニェンは、誤ってウェイ・ライを階段から突き落としてしまいます。
ウェイ・ライは頭を強く打ち、死亡してしまいました。
パニックに陥るニェンを救うため、シャオベイは冷徹な決断を下します。
彼はニェンに完璧なアリバイを用意させ、ウェイ・ライの遺体を別の場所へ運び、自分が強姦殺人を犯したかのように偽装工作を行う計画を立てました。
すべては、ニェンが夢見た未来を手に入れるためでした。
しかし、捜査を担当する刑事ジェン・イーは、二人のあまりにも強い結びつきと供述の不自然さから、彼らが互いを庇い合っていることを見抜きます。
彼は真相を暴くため、二人を心理的に追い詰めていくのでした。
【結】少年の君
シャオベイが死刑になる可能性を示唆され、刑事ジェン・イーから執拗な尋問を受けたニェンは、ついに精神的に限界を迎えます。
自分のために未来の全てを犠牲にしようとするシャオベイの姿と、彼が自分に捧げてくれた無償の愛の重さに耐えきれず、彼女は真実を自白します。
結果、ニェンは過失致死罪で懲役4年、シャオベイも共犯として懲役刑を言い渡されました。
数年後、出所したニェンは英語塾の先生になり、かつての自分のようにいじめられている生徒に優しく寄り添っています。
彼女が家路につく道中、その数メートル後ろを、フードを被ったシャオベイが静かに歩いてついてきています。
彼はかつての約束通り、出所した後も彼女を見守り続けていたのです。
二人が視線を交わすことはありませんが、その確かな存在が未来への希望を静かに示し、物語は深い余韻と共に幕を閉じます。
少年の君の感想
この映画は、中国の苛烈な学歴競争社会におけるいじめという重いテーマを扱いながら、その中で芽生える少年少女の純粋で痛切な魂の結びつきを描いた傑作です。
デレク・ツァン監督による、観客の感情を揺さぶるリアリスティックな演出と、主演二人の鬼気迫る演技には息を呑みました。
特に、チェン・ニェン役のチョウ・ドンユイが絶望の中で見せる微かな光と、シャオベイ役のイー・ヤンチェンシーが体現する荒々しさの奥にある深い優しさは、観る者の心に深く刻まれます。
「君が世界を守れ、俺が君を守る」というセリフと、取調室でマジックミラー越しに無言で見つめ合うシーンは、二人の関係性の全てを物語っており、涙なしには見られません。
鑑賞中は社会の不条理に対する怒りと胸が張り裂けるような痛みに襲われますが、最後に示されるささやかな希望が、この物語を単なる悲劇で終わらせない救いとなっています。
少年の君のおすすめ理由
社会問題を鋭くえぐり出す脚本の完成度の高さ、主演二人の魂を削るような熱演、観る者の感情を鷲掴みにする演出と映像美、これら全てが高次元で融合している点を高く評価しました。
単なる青春映画や恋愛映画の枠に収まらない、人間の尊厳と愛を問う普遍的な傑作であり、ほぼ満点に近い評価が妥当だと判断したためです。
少年の君のその他情報
第39回香港電影金像奨で作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、新人俳優賞を含む主要8部門を独占。
第93回アカデミー賞国際長編映画賞の香港代表作品としてノミネートされるなど、国際的にも極めて高い評価を受けました。
中国本土では興行収入280億円を超える大ヒットを記録し、いじめ問題に関する議論を巻き起こすなど社会現象にもなりました。


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