駆込み女と駆出し男 (2015) ネタバレあらすじ紹介

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駆込み女と駆出し男のあらすじ紹介

【起】駆込み女と駆出し男

天保十二年、幕府公認の縁切寺である鎌倉の東慶寺には、様々な事情を抱えた女たちが救いを求めて駆け込んできます。
医者見習いで戯作者志望の中村信次郎は、叔母である東慶寺の御用宿・柏屋の主人源兵衛に頼まれ、離縁を求める女たちの身柄を預かり、聞き取り調査を行う「御用人」の仕事を手伝うことになります。
彼は、江戸の豪商の妾で鉄練りの名人であるじょごや、夫の度重なる暴力に耐えかねてきたお吟といった、それぞれに複雑な過去を持つ女たちと出会います。
まだ駆け出しの「駆出し男」である信次郎は、女たちの人生を左右する重要な役目に戸惑いながらも、その誠実で朴訥な人柄で、少しずつ彼女たちの心を開かせ、信頼を得ていくのです。
これは、彼が女性たちの再出発を助ける中で、自身も成長していく物語の始まりです。

【承】駆込み女と駆出し男

信次郎は、柏屋に逗留する女たちの聞き取り調査を進める中で、彼女たちが抱える問題の根深さを知ります。
じょごは、愛人である堀切屋三郎衛門の身を案じているように見せながら、実は彼の不正を暴くための重要な証拠を隠し持っていました。
彼女は一見すると強気で勝ち気な女性ですが、その内には深い愛情と確固たる正義感を秘めています。
一方、美しい顔に夫から焼きごてを押し付けられたお吟は、単なる暴力被害者ではなく、その裏に隠された大きな陰謀に苦しめられていました。
信次郎は、柏屋の主人源兵衛や先輩御用人の重蔵、そして東慶寺の院代である法秀尼の助けを借りながら、複雑に絡み合った事件の真相に迫っていきます。
彼は持ち前の洞察力と戯作者としての筆の力で、女たちの言い分を詳細な「調書」にまとめ上げ、東慶寺で行われる離縁調停に備えるのです。
この過程で、信次郎はただの駆出し男から、頼れる御用人へと変貌を遂げていきます。

【転】駆込み女と駆出し男

物語は、じょごが大切に持っていた「からくり人形」に、堀切屋が関与する公金横領の証拠が隠されていたことが発覚し、一気に緊迫します。
悪事が露見することを恐れた堀切屋は、奉行所の役人と結託し、じょごを口封じのために消そうと画策します。
堀切屋が差し向けた手下たちが柏屋を襲撃し、信次郎やじょごたちは絶体絶命の危機に陥りますが、信次郎は機転を利かせ、仲間たちと共にじょごを守り抜きます。
さらに、お吟の夫が彼女の顔に焼き印を押した本当の理由が、彼女が高貴な身分の生まれであるという出自の秘密を隠蔽するためであったことが明らかになります。
彼女の離縁問題の裏には、家督相続を巡る巨大な陰謀が渦巻いていたのです。
信次郎は、これらの事件の真相を突き止め、虐げられてきた女たちを救い出すために命がけで奔走します。
彼の戯作者としての才能が、事件解決の意外な鍵となるのです。

【結】駆込み女と駆出し男

信次郎の決死の活躍により、堀切屋の悪事は白日の下に晒され、関係者は一網打尽となります。
これにより、じょごは無事に離縁を認められ、故郷で鉄練りの技術を活かして新たな人生を歩み始めることになりました。
彼女は旅立つ前に、信次郎への心からの感謝と、言葉には出さないほのかな恋心を伝えます。
一方、お吟もまた離縁が成立し、自らの出自の秘密と向き合い、それを乗り越えて強く生きていくことを決意します。
一連の事件を通して多くのことを学び、御用人としても一人の人間としても大きく成長を遂げた信次郎は、これからも東慶寺の御用人として、様々な事情を抱えて駆け込んでくる女たちを助け続けることを心に誓います。
映画のラストシーンでは、戯作者としての道を歩み始めた信次郎が、これまでの出来事を生き生きとした筆致で物語として書き記しており、彼の晴れやかな表情と共に物語は希望に満ちた結末を迎えるのです。

駆込み女と駆出し男の感想

井上ひさしの小説を原作に、封建社会の中で虐げられた女性たちが自らの手で人生を取り戻そうとする姿を描いた本作は、現代にも通じる力強いエンパワーメントのメッセージを伝えています。
女性たちの連帯と、彼女たちを優しく支える男性の存在が、重いテーマを扱いながらも温かい感動を呼びます。
原田眞人監督のテンポ良い演出と、江戸時代の言葉遣いを巧みに再現した軽妙な脚本は見事で、特にクライマックスの柏屋襲撃シーンのアクションは時代劇としてのカタルシスに満ちています。
主演の大泉洋は、飄々としながらも芯の通った信次郎を軽妙かつ魅力的に演じきり、戸田恵梨香と満島ひかりは、それぞれ異なる背景を持つ女性の強さともろさ、そして内に秘めた情念を見事に体現していました。
最も印象に残ったのは、じょごが信次郎に「達者でな」と告げる別れのシーンです。
言葉少なながらも二人の間に確かに通った深い絆が感じられ、胸が熱くなりました。
鑑賞後は、困難に立ち向かう人々の姿に勇気をもらい、心が晴れやかになるような清々しい気持ちになりました。

駆込み女と駆出し男のおすすめ理由

井上ひさしの緻密で言葉遊びに満ちた原作を、原田眞人監督がエンターテインメント性豊かに映像化した手腕が実に見事です。
大泉洋をはじめとする豪華キャスト陣のアンサンブル演技が素晴らしく、特に戸田恵梨香と満島ひかりが演じる女性たちの気高くも切ない生き様には心を強く揺さぶられます。
江戸時代の文化や風俗を巧みに取り入れた脚本は知的好奇心を刺激し、シリアスなテーマの中にもユーモアが巧みに散りばめられているため、時代劇に馴染みのない観客でも存分に楽しめます。
単なる人情噺に終わらず、ミステリーや活劇の要素も加わり、143分という上映時間を少しも感じさせない構成力も高く評価できます。
女性の自立という普遍的なテーマが、鑑賞後に爽やかな感動と明日への活力を与えてくれる、文句なしの傑作時代劇です。

駆込み女と駆出し男のその他情報

第40回報知映画賞 監督賞(原田眞人)、第28回日刊スポーツ映画大賞 監督賞(原田眞人)、第39回日本アカデミー賞では優秀作品賞、優秀監督賞、優秀脚本賞、優秀主演男優賞(大泉洋)、優秀主演女優賞(戸田恵梨香)、優秀助演女優賞(満島ひかり)など、国内の主要な映画賞で多数の部門にノミネート及び受賞を果たし、批評家からも観客からも高い評価を得ました。

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