作品情報
- ファースト・マン
- 製作年:2018
- 洋画
- 製作年:2018
- 上映時間:141分
- カテゴリ:ドラマ, 伝記, 歴史
- 監督:デイミアン・チャゼル
キャスト
ファースト・マンのあらすじ紹介
【起】ファースト・マン
1961年、NASAのテストパイロットであるニール・アームストロングは、高高度極超音速実験機X-15の飛行中に機体が大気圏外へ弾き出されるトラブルに見舞われますが、冷静な判断で生還します。
しかし彼の私生活は、幼い娘カレンが脳腫瘍で闘病中という悲しみに覆われていました。
懸命な治療も虚しくカレンは亡くなり、ニールは深い喪失感を抱えます。
この個人的な悲劇を乗り越えるためか、彼は新たな目標を求め、有人宇宙飛行計画であるジェミニ計画の宇宙飛行士選抜に応募します。
面接では感情をほとんど見せず、冷静に質問に答える彼の姿は、内に秘めた悲しみを押し殺しているかのようでした。
彼は見事合格し、NASAの宇宙飛行士としての新たな一歩を踏み出すことになります。
【承】ファースト・マン
ジェミニ計画の宇宙飛行士となったニールは、過酷な訓練に身を投じます。
彼は仲間たちと共に、人類初の宇宙遊泳やドッキングといった未知の領域に挑むための技術を習得していきます。
1966年、ニールはジェミニ8号の船長として初の宇宙飛行に臨み、史上初の宇宙ドッキングに成功します。
しかし、直後にスラスターの故障で機体が激しく回転する危機に陥り、冷静な操縦でこれを乗り切り地球へ帰還しました。
この成功の一方で、宇宙開発は常に死と隣り合わせでした。
親しい同僚であったエリオット・シーやエド・ホワイトたちが訓練中の事故で次々と命を落とし、ニールと彼の妻ジャネットは悲しみに暮れます。
そして、ソ連との宇宙開発競争が激化する中、アメリカは人類を月へ送るという壮大なアポロ計画へと移行していくのです。
【転】ファースト・マン
アポロ計画は、アポロ1号の地上訓練中に火災が発生し、ガス・グリソムら3名の飛行士が亡くなるという悲劇的なスタートを切ります。
この事故はNASA全体に衝撃を与え、計画の安全性に対する厳しい目が向けられることになりました。
ニール自身も友人を失い、計画の危険性を改めて痛感します。
それでも計画は続行され、ニールは人類初の月面着陸を目指すアポロ11号の船長に任命されます。
この栄誉は、彼にとって計り知れない重圧となりました。
特に妻ジャネットは、夫が死の危険に晒されることへの恐怖と、夫が家庭を顧みず任務に没頭することへの不満を募らせます。
出発前夜、ジャネットはニールに、死ぬかもしれない旅に出るのだから息子たちにきちんと別れを告げるよう強く迫り、家族の間には緊迫した空気が流れるのでした。
【結】ファースト・マン
1969年7月16日、アポロ11号は轟音と共に地球を飛び立ちました。
打ち上げ時の凄まじい振動とGがリアルに描かれ、観客も宇宙船に乗り込んだかのような感覚に陥ります。
月への航海を経て、月着陸船イーグルは分離し、着陸態勢に入ります。
しかし、予定着陸地点は岩だらけで危険でした。
ニールは冷静に手動操縦に切り替え、燃料が尽きる寸前で安全な場所に着陸を成功させます。
「ヒューストン、こちら静かの海基地。
イーグルは着陸した」という歴史的な通信の後、彼は月面に第一歩を記しました。
「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」という有名な言葉を残し、彼は亡き娘カレンのブレスレットをクレーターにそっと投げ入れます。
これは彼の個人的な追悼であり、偉業の裏にあった深い悲しみを象徴する行為でした。
無事に地球へ帰還したニールは、隔離室のガラス越しに妻ジャネットと静かに見つめ合うのでした。
ファースト・マンの感想
この映画は、人類初の月面着陸という歴史的偉業を成し遂げた英雄の物語ではなく、一人の人間ニール・アームストロングが、愛する娘の死という耐えがたい喪失感を抱えながら、いかにしてその悲しみを乗り越えようとしたかの個人的な記録です。
デイミアン・チャゼル監督は、主観視点を多用した息苦しいほどの閉塞感と、宇宙船のきしみや轟音といった生々しい音響設計で、観客をニールの体験に引きずり込みます。
特に、静寂に包まれた月面がIMAXの広大な画面で映し出されるシーンの映像美と、そこで彼が亡き娘のブレスレットをそっと手放す演出は、言葉なくして彼の内面を物語る圧巻の瞬間でした。
ライアン・ゴズリングの感情を抑制したミニマルな演技は、内に悲しみを秘めたニールの人物像を完璧に体現しており、対照的にクレア・フォイが演じる妻ジャネットの、不安と怒りを爆発させる人間味溢れる姿が、物語に深い奥行きを与えています。
これは英雄譚ではなく、痛みを抱えた一人の男の、静かな魂の旅路を描いた傑作です。
ファースト・マンのおすすめ理由
歴史的偉業の裏にある、一人の人間の個人的な悲しみと再生の物語として描いた視点の深さ。
観客が宇宙飛行士の体験を共有できるほどの圧倒的な没入感を生み出す主観的なカメラワークと音響設計。
特に、宇宙船内の息苦しいほどの閉塞感と、IMAXで描かれる月面の静寂と解放感の対比は見事。
ライアン・ゴズリングの抑制された演技と、クレア・フォイの感情的な演技が、物語に人間的な深みを与えている点を高く評価しました。
ファースト・マンのその他情報
第91回アカデミー賞 視覚効果賞受賞。
同、美術賞、音響編集賞、録音賞ノミネート。
第76回ゴールデングローブ賞 作曲賞受賞。
その他、多数の映画賞で受賞・ノミネート。
批評家からは、その革新的な演出と深い人間ドラマが高く評価されました。


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