作品情報
- メッセージ
- 製作年:2016
- 洋画
- 製作年:2016
- 上映時間:116分
- カテゴリ:SF, ドラマ, スリラー
- 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
キャスト
メッセージのあらすじ紹介
【起】メッセージ
ある日、地球上の12箇所に巨大な謎の飛行物体「シェル」が突如出現し、世界は未曾有の混乱に陥ります。
アメリカ軍は、物体に乗る知的生命体との対話を試みるため、著名な言語学者ルイーズ・バンクス博士に協力を要請します。
彼女は、娘を病で失った悲しい過去の記憶に苦しみながらも、物理学者のイアン・ドネリーと共にチームに加わり、危険を冒してシェルの内部へと足を踏み入れます。
そこで彼らが対面したのは、7本脚を持つ異星人「ヘプタポッド」でした。
人類の存亡がかかる中、彼らが発する音と、墨で描いたような円形の文字を解読するという、前人未到の任務が始まります。
ルイーズは、この未知の言語が人類の認識を根底から覆す鍵を握っているとは、まだ知る由もありませんでした。
【承】メッセージ
ルイーズは、ヘプタポッドが使用する円形の表語文字の解読に没頭します。
彼らの言語は直線的な時間の流れを持たず、文の始まりも終わりもないことから、彼らの思考や世界認識が人間とは全く異なることを示唆していました。
この言語を学ぶにつれて、ルイーズは娘ハンナとの幸せな記憶や、彼女が病に倒れる悲しい場面など、鮮明なフラッシュバックを頻繁に見るようになります。
当初、それは過去のトラウマだと思われていましたが、そのビジョンは次第に具体的になり、彼女の現実認識を揺るがし始めます。
一方、世界各国はコミュニケーションの遅れから異星人への不信感を募らせ、特に中国のシャン上将率いる軍は強硬姿勢を強め、国際的な緊張は日に日に高まっていきました。
言語の解読は、世界の運命を左右する一刻を争う事態となっていきます。
【転】メッセージ
解読作業が続く中、ヘプタポッドから「武器を使え」と解釈できるメッセージが発信されたことで、事態は最悪の局面を迎えます。
このメッセージを敵対的意図と受け取った各国はパニックに陥り、中国はシェルへの最後通牒を突きつけ、各国との通信を遮断してしまいます。
世界は異星人との戦争勃発寸前の状態となり、ルイーズたちのいる米軍基地にも撤収命令が下されます。
しかしルイーズは、それは誤訳であり、真意は別にあると確信していました。
絶望的な状況下、彼女は一人で再びシェル内部へ向かいます。
そこで彼女は、ヘプタポッドが地球を訪れた真の目的を知らされます。
それは3000年後に助けが必要となる彼らが、そのための「贈り物」として人類に彼らの言語、すなわち時間を超越して未来を認識する能力を与えることでした。
「武器」とは、この言語そのものだったのです。
【結】メッセージ
ヘプタポッドの言語を完全に習得し、未来を「記憶」として見通す力を得たルイーズは、18ヶ月後に国連で開催されるパーティーで、中国のシャン上将から感謝されるビジョンを見ます。
彼は、ルイーズが彼の私用電話に連絡し、彼の亡き妻が遺した最期の言葉を伝えたことで、攻撃を中止する決断を下したのだと明かします。
ルイーズは、その未来の記憶から得た情報を元に、現在のシャン上将に電話をかけ、未来で聞いたばかりの妻の言葉を伝えます。
その言葉に心を動かされたシャン上将は攻撃を中止し、世界は破滅の危機から救われました。
そして、物語の冒頭からルイーズを苦しめてきた娘ハンナの記憶が、実はこれから訪れる未来の出来事であったことが判明します。
ルイーズは、娘が短い生涯を終えるという悲しい運命を知りながらも、イアンとの愛を受け入れ、その人生を歩むことを決意するのでした。
メッセージの感想
本作は、言語が思考を規定するという「サピア=ウォーフの仮説」を壮大なSFの舞台で見事に映像化した、知性と感性に訴えかける傑作です。
未来のすべてを知った上で、喜びも悲しみも丸ごと受け入れて人生を歩むことを選ぶ主人公の決断は、運命論を超えた人間賛歌であり、観る者の心に深く突き刺さります。
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による静謐で荘厳な演出、ミニマルでありながら不安と神聖さを掻き立てる故ヨハン・ヨハンソンの音楽、そして墨絵のように美しく謎めいたヘプタポッドの文字デザイン、そのすべてが完璧に調和し、唯一無二の世界観を構築しています。
特に、知的探究心と母性の間で揺れ動き、哀しみをたたえながらも覚悟を決めるルイーズを演じたエイミー・アダムスの演技は圧巻の一言です。
物語の構造が反転するラストシーンで、それまでの伏線が一気に繋がり、涙と共に深い感動が押し寄せる映画体験は、生涯忘れられないものとなりました。
鑑賞後は、静かな興奮と、自らの人生や選択について思いを馳せる重厚な余韻に包まれました。
メッセージのおすすめ理由
難解になりがちな言語学や相対性理論の概念を、感動的なヒューマンドラマへと昇華させた脚本の巧みさが見事です。
単なるファーストコンタクトものではなく、「時間とは何か」「運命とは何か」という普遍的かつ哲学的な問いを観客に投げかけます。
静謐ながらも緊張感に満ちた演出、心に深く響く音楽、そして主演エイミー・アダムスのキャリア最高とも言える繊細で力強い名演が、この映画を単なるエンターテイメントの域を超えた芸術作品に高めています。
物語の真相が明かされるラストの衝撃と、それに伴うカタルシスは他の映画では味わえない格別なものであり、何度も見返したくなる深みを持っているため、満点に近い高評価としました。
メッセージのその他情報
第89回アカデミー賞において、作品賞、監督賞、脚色賞など主要8部門にノミネートされ、音響編集賞を受賞しました。
また、第74回ゴールデングローブ賞では主演女優賞(エイミー・アダムス)にノミネートされたほか、英国アカデミー賞では音響賞を受賞するなど、世界各国の映画賞で非常に高い評価を受けました。
批評家筋からは「知的なSFの新たな金字塔」「現代最高のSF映画」といった最大級の賛辞が送られ、その独創的な物語と深いテーマ性で、映画ファンや批評家の間で傑作として語り継がれています。


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