万引き家族 (2018) ネタバレあらすじ紹介

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万引き家族のあらすじ紹介

【起】万引き家族

東京の下町で、日雇い労働者の父・治と息子の祥太は、息の合った連携プレーで万引きに励む日々を送っていました。
その帰り道、団地のベランダで凍えていた幼い少女ゆりを見かねて家に連れ帰ります。
家には、治の妻・信代、信代の妹・亜紀、そして年金で一家の家計を支える祖母・初枝が暮らしていました。
彼らは血の繋がりはなく、犯罪と年金を頼りに生活する「偽りの家族」でした。
当初はゆりを親元に返すつもりの信代でしたが、彼女の体に虐待の痕を見つけ、警察に届けることなく「じゅり」という新しい名前を与えて一緒に暮らし始めます。
治は祥太に「店に置いてあるものは誰のものでもない」と万引きを教え込み、祥太もそれを純粋に信じて、奇妙ながらも温かい家族の日常が過ぎていきます。

【承】万引き家族

じゅりは柴田家の暮らしにすぐに溶け込み、本当の家族のように愛情を注がれていきます。
信代は母親のようにじゅりの面倒を見、亜紀は姉のように接し、初枝は孫のように可愛がります。
祥太も妹ができたことを喜びつつ、じゅりにまで万引きを教えることに、次第に心の葛藤を覚え始めます。
学校にも通わせてもらえず、社会から隔絶された生活の中で、祥太の中に倫理観が芽生え始めるのです。
夏、一家は海へ出かけ、束の間の幸せな時間を過ごします。
浜辺で遊ぶ家族を眺めながら、初枝が誰に言うともなく「ありがとうございました」と呟くシーンは、この偽りの家族と過ごした時間への感謝と、自らの死期を悟った諦念が入り混じった、本作屈指の名場面です。
この海でのひとときが、彼らが最も「家族」らしかった頂点であり、後の崩壊をより一層切なく際立たせることになります。

【転】万引き家族

夏の終わりに、祖母の初枝が誰にも看取られることなく縁側で静かに息を引き取ります。
治と信代は、初枝の死を届け出れば年金が止まり、この家で暮らせなくなると考え、彼女の遺体を家の床下に埋めて死を隠蔽します。
この禁断の行為が、家族の崩壊を決定づける転換点となりました。
そんな中、祥太はいつものように万引きをしようとしますが、店の主人に優しく諭されたことで激しい罪悪感に襲われ、わざと捕まるように店から逃げ出します。
祥太のこの行動が引き金となり、警察の捜査の手が柴田家に入り、彼らの「家族ごっこ」は突如として終わりを告げます。
捜査が進むにつれ、治と信代が過去に殺人を犯していたこと、子供たちが誘拐されていたこと、亜紀が本当の家族から離れていた理由など、彼らの関係の裏に隠された衝撃の事実が次々と白日の下に晒されていきます。

【結】万引き家族

逮捕された一家はバラバラになり、それぞれが社会的な法の裁きを受けることになります。
信代はすべての罪を一人で被ることを決意し、収監されます。
治と祥太は児童養護施設へ、そして「じゅり」は虐待を受けていた実の親元へと、それぞれ戻されていきました。
面会室で、信代は祥太に「おばさんたちは、あんたを誘拐したんだよ」と真実を告げ、本当の親の元へ帰るように促します。
物語のラスト、施設からバスで去っていく祥太は、追いかけてくる治の姿を見ながら、声には出さず「お父さん」と初めて呟きます。
一方、実家に戻ったじゅりは、ベランダからかつて柴田家があったであろう方角をじっと見つめています。
血の繋がりか、共に過ごした時間か、本当の「家族」とは何かという重い問いを観客に投げかけたまま、物語は幕を閉じます。
そのやるせない結末は、社会のセーフティネットからこぼれ落ちた人々の孤独と、確かに存在した愛の形を鮮烈に描ききっています。

万引き家族の感想

この映画は、血の繋がりを超えた「家族」とは何か、そして社会のセーフティネットからこぼれ落ちた人々の現実を、痛烈に問いかけてくる作品です。
是枝監督特有の静かで抑制の効いた演出は、ドキュメンタリーのように彼らの日常を淡々と映し出しますが、その一つ一つの仕草や会話に、登場人物たちの深い感情が込められています。
特に、安藤サクラさんが取り調べのシーンで見せる、涙をこらえ、そして流す圧巻の演技は、母親になりたかった女性の悲痛な叫びそのものであり、観る者の胸を締め付けます。
リリー・フランキーさんの飄々としながらも父性を感じさせる演技、そして樹木希林さんの全てを見透かしたような佇まいも、この偽りの家族に確かな実在感を与えていました。
祥太が最後にバスの中から「お父さん」と呟くシーンは、彼らの間に確かに存在した絆を象徴しており、涙なしには見られません。
鑑賞後には、何が正義で何が悪なのか、家族の定義とは何かを考えさせられ、切なさとやるせなさ、そして彼らが分かち合った時間の温かさが入り混じった複雑な感情に包まれました。

万引き家族のおすすめ理由

是枝裕和監督の卓越した演出と脚本、そして俳優陣の見事なアンサンブル演技が奇跡的な融合を果たした傑作だからです。
特に安藤サクラの取り調べシーンにおける演技は映画史に残るレベルであり、それだけでも観る価値があります。
「家族」という普遍的なテーマを、貧困や虐待といった現代社会が抱える問題と絡めて描き、血縁か過ごした時間かという根源的な問いを観客に突きつけます。
鑑賞後に深い余韻と考察をもたらす、社会派ドラマとしての完成度が極めて高く、忘れられない映画体験となるため、この評価としました。

万引き家族のその他情報

第71回カンヌ国際映画祭にて、日本の作品としては21年ぶりとなる最高賞パルムドールを受賞。
その他、第91回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、第42回日本アカデミー賞では最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演女優賞(安藤サクラ)、最優秀助演女優賞(樹木希林)など最多8部門で受賞するなど、国内外で数えきれないほどの賞を受賞し、世界的に極めて高い評価を受けました。

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