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海街diaryのあらすじ紹介
【起】海街diary
鎌倉の古い一軒家で暮らす香田家の三姉妹、長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届きます。
父の葬儀で山形を訪れた三人は、そこで腹違いの妹である中学生の浅野すずと初めて出会います。
しっかり者で健気なすずに心惹かれた幸は、その場で衝動的に「鎌倉で一緒に暮らさない?」と提案します。
父との思い出がほとんどない三姉妹と、父を亡くし血の繋がらない継母と暮らすすず。
それぞれの孤独と戸惑いを胸に秘めながらも、すずはその提案を受け入れ、四姉妹としての新たな生活が鎌倉で始まることになります。
この出会いが、止まっていた家族の時間を再び動かし始めるのです。
【承】海街diary
鎌倉での生活が始まり、すずは地元のサッカーチームに入り、姉たちとの日常に少しずつ溶け込んでいきます。
幸は看護師として働きながら家長としてすずを気遣い、佳乃は奔放に恋愛を楽しみ、千佳はマイペースに日々を過ごします。
季節が巡る中で、四人は梅酒を漬けたり、しらすトーストを食べたり、花火をしたりと、ささやかな日常を共有し、本当の姉妹のように絆を深めていきます。
しかし、その穏やかな日々の裏には、家族を捨てた父への複雑な思いや、三姉妹を置いて再婚した母・都との確執が横たわっていました。
特に幸は、父の不倫相手の娘であるすずの存在を通して、自分たちを捨てた両親への許せない気持ちと、すずへの愛情との間で葛藤を抱えていました。
【転】海街diary
ある日、三姉妹を捨てた実母である都が、祖母の七回忌のために香田家を訪れます。
都の奔放で自己中心的な態度は佳乃や幸との間に緊張を生み、家族が抱える根深い問題が表面化します。
幸は、不倫の末に自分たちを捨てた父と同じ道を歩むかのように、職場の妻子ある小児科医と不倫関係にありました。
その事実が、すずの存在と重なり、幸をさらに苦しめます。
一方、すずは自分の母親が香田家の家庭を壊した張本人であるという負い目を感じ、姉たちに遠慮しながら生きていました。
そんな中、すずは食堂を営む二ノ宮さち子から、父が生前、幸たち娘を自慢していたこと、そして自分と同じように海が見えるこの街を愛していたことを聞かされ、父への見方が少しずつ変わっていきます。
【結】海街diary
幸は不倫関係に終止符を打ち、自身の問題と向き合う決意をします。
そして、すずに「お父さんを悪く言う人がいても、すずは気にしなくていい。
あんたは何も悪くない」と告げ、すずの心の重荷を解き放ちます。
すずもまた、自分の存在が姉たちを不幸にするのではないかという罪悪感から解放されます。
季節は再び巡り、父の一周忌の日、四姉妹は喪服で浜辺を歩きます。
そこで幸は、すずに「ここにいられて、よかった」と語りかけます。
それは、すずだけでなく、幸自身の心の声でもありました。
父の死から始まった四人の物語は、過去の傷を受け入れ、互いを慈しみながら未来へ歩み出す、新しい家族の誕生の物語として結実します。
美しい鎌倉の海の景色の中で、四人は確かな絆で結ばれた家族として、新たな一歩を踏み出すのでした。
海街diaryの感想
この映画は、血の繋がりだけではない「家族」という形の多様性と、過去の傷を乗り越え再生していく人々の姿を静謐に描いた傑作です。
是枝裕和監督特有のドキュメンタルな演出は、四姉妹の日常に息づく機微を繊細に捉え、鎌倉の四季折々の美しい風景と相まって、観る者の心に深く染み渡ります。
特に、食卓を囲むシーンや梅酒を漬ける場面は、言葉以上に彼女たちの絆の深まりを物語っていました。
綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、そして広瀬すずが演じる四姉妹は、それぞれが個性的でありながら見事なアンサンブルを奏で、まるで本当の姉妹のような自然な空気感を醸し出しています。
最も印象的だったのは、幸がすずに「あんたは何も悪くない」と告げるシーンです。
それは、すずだけでなく、自分自身をも許し、過去から解き放つ瞬間であり、静かな感動に包まれました。
鑑賞後は、誰かと食卓を囲みたくなるような、温かくも少し切ない、慈愛に満ちた感情が心に残りました。
海街diaryのおすすめ理由
是枝裕和監督による、人間の機微を捉える卓越した演出力。
綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずという主要キャストが見せる、まるで本物の姉妹のような自然で深みのあるアンサンブル演技。
光と緑に溢れる鎌倉の四季を切り取った圧倒的な映像美。
そして、血の繋がりを超えて築かれる家族の絆という普遍的なテーマを、押し付けがましさなく、観る者の心に静かに問いかける脚本の巧みさ。
これら全てが極めて高いレベルで融合しており、日本映画が誇るべき珠玉の一本と言えます。
特に、日常の些細な出来事の積み重ねで登場人物の心情や関係性の変化を描き出す手法は秀逸で、鑑賞後も長く心に残る余韻を与えてくれます。
海街diaryのその他情報
第39回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀撮影賞、最優秀照明賞の4冠を達成。
広瀬すずが新人俳優賞を受賞した。
また、第68回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品され、海外からも高い評価を受けた。
国内の各種映画賞でも作品賞や監督賞、俳優賞を多数受賞し、2015年を代表する日本映画の一本として広く認知されています。


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