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鉄道員(ぽっぽや)のあらすじ紹介
【起】鉄道員(ぽっぽや)
北海道の廃線間近なローカル線「幌舞線」の終着駅「幌舞駅」。
駅長の佐藤乙松は、鉄道員一筋に生きてきた男です。
定年退職を間近に控えたある日も、彼は雪が降りしきる中、たった一人の乗客を乗せた列車をいつものように迎え、送り出します。
同僚であり親友の杉浦仙次が訪れ、引退後の仕事の話を持ちかけますが、乙松は鉄道員としての誇りを胸に、この場所を離れる気になれませんでした。
彼は不器用で、仕事一筋の人生を送ってきたため、家庭を顧みることができず、かつて幼い娘・雪子を生後わずかで亡くし、その死に目にも、そして最愛の妻・静枝の臨終にも立ち会えなかったという深い悔恨を抱えていました。
その過去の記憶が、雪深い幌舞の風景と共に彼の心に重くのしかかっていたのです。
【承】鉄道員(ぽっぽや)
乙松のもとに、不思議な少女たちが次々と現れます。
最初はランドセルを背負った少女、次に中学生の制服を着た少女が、忘れ物を取りに来たと駅を訪れます。
乙松は彼女たちに見覚えはありませんでしたが、どこか懐かしい雰囲気を感じ、温かく迎え入れます。
少女たちは乙松に手料理を振る舞ったり、昔の話をしたりと、つかの間の穏やかな時間をもたらします。
この交流は、孤独な乙松の心を少しずつ溶かしていきます。
しかし、彼女たちの正体は謎に包まれており、その存在は現実なのか幻なのか判然としません。
仙次は乙松の様子を心配しますが、乙松自身は彼女たちとの時間に安らぎを見出していました。
それは、彼が失ってしまった家族との温かい時間を取り戻すかのような、切なくも心温まるひとときでした。
【転】鉄道員(ぽっぽや)
最後に現れたのは、セーラー服姿の美しい少女でした。
彼女は乙松に、自分が彼の亡くなった娘、雪子であることを告白します。
少女の姿は、もし生きていれば17歳になったであろう雪子の成長した姿だったのです。
最初に訪れた小学生、次に訪れた中学生も、成長過程の雪子の幻影でした。
雪子は、鉄道員としての務めを最後まで果たそうとする父を労い、感謝の気持ちを伝えるために現れたのでした。
乙松は驚きと混乱に見舞われますが、少女が語る家族しか知らない思い出や、妻・静枝が好きだった歌を口ずさむ姿から、彼女が本当に雪子であることを確信します。
父と娘は、時を超えてついに再会を果たし、これまで言えなかった想いを伝え合います。
これは乙松の長年の悔恨が昇華される、奇跡的で感動的な瞬間でした。
【結】鉄道員(ぽっぽや)
雪子との再会を果たし、心の平安を得た乙松は、最後の勤務を終えます。
彼は雪子に「父ちゃん、もういいんだ」と告げられ、彼女の幻影に見守られながら、雪が降り積もる幌舞駅のホームで静かに息を引き取ります。
翌朝、最終列車が到着する中、仙次がホームで雪に埋もれるように亡くなっている乙松を発見します。
その亡骸は、まるで満足げな表情を浮かべていました。
乙松の亡骸のそばには、彼が大切にしていた鉄道員の制帽が置かれ、その傍らには雪子の形見である人形が寄り添っていました。
幌舞線は最終日を迎え、多くの人々が乙松の死を悼みながら最後の列車を見送ります。
鉄道員としての生涯を全うし、家族との絆を取り戻した乙松の魂は、雪深い幌舞の地で永遠の安らぎを得たのです。
鉄道員(ぽっぽや)の感想
この映画は、仕事への献身と家族への愛という普遍的なテーマを、ファンタジックな要素を交えて感動的に描いた傑作です。
不器用ながらも実直に職務を全うする男の生き様は、現代社会で忘れられがちな「誇り」とは何かを問いかけてきます。
降旗康男監督の演出は、雪深い北海道の厳しくも美しい自然を背景に、登場人物の心情を丁寧に映し出し、坂本龍一氏による音楽がその静謐な世界観を一層引き立てています。
特に、主演の高倉健さんの演技は圧巻の一言です。
寡黙な背中や僅かな表情の変化だけで、乙松の長年の悔恨と深い愛情を見事に表現しており、観る者の胸を締め付けます。
広末涼子さんの透明感あふれる演技も、物語のファンタジー性を高める上で欠かせない要素でした。
最も印象的なのは、乙松が成長した娘・雪子の幻と対面するシーンです。
時を超えた親子の再会は、涙なくしては見られません。
鑑賞後は、切なさと同時に、深い愛情に包まれたような温かい気持ちになり、自分の人生や大切な人との関わり方について深く考えさせられました。
鉄道員(ぽっぽや)のおすすめ理由
高倉健の俳優人生の集大成ともいえる圧倒的な存在感と、観る者の魂を揺さぶる演技が最大の理由です。
降旗康男監督の静謐で美しい映像表現、坂本龍一の心に染み渡る音楽、そして浅田次郎の原作が持つ物語の力が完璧に融合し、日本映画史に残る感動作となっています。
仕事一筋に生きた男の孤独と後悔、そして最後に訪れる奇跡的な救済という物語は、誰の心にも響く普遍性を持ち、何度見ても涙腺を刺激します。
単なる感動作に留まらず、人生の尊さや家族の絆について深く考えさせられる、まさに珠玉の一本です。
鉄道員(ぽっぽや)のその他情報
第23回日本アカデミー賞において、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀主演男優賞(高倉健)、最優秀主演女優賞(大竹しのぶ)、最優秀助演女優賞(広末涼子)など主要9部門を独占しました。
また、モントリオール世界映画祭では高倉健が主演男優賞を受賞するなど、国内外で非常に高い評価を受けています。
興行的にも大成功を収め、多くの観客の涙を誘った国民的映画として知られています。


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