宇宙人のあいつ (2023) ネタバレあらすじ紹介

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宇宙人のあいつのあらすじ紹介

【起】宇宙人のあいつ

真田家の次男として23年間、家族とともに過ごしてきた日出男が、ある日突然、自分は土星から来た宇宙人であり、人間の生態、特に「家族」というものを学ぶために地球に来たと兄妹に告白します。
そして、残された時間はあと3日間で、ミッションを終えて土星に帰らなければならないと淡々と語ります。
あまりに突拍子もない告白に、長男の夢二、長女の想乃、三男の詩文は驚きと戸惑いを隠せません。
しかし、日出男の真剣な態度と、時折見せる人間離れした言動から、それが冗談ではないことを悟ります。
こうして、宇宙人・日出男の地球での最後の3日間が幕を開けるのです。
彼の目的は、人間としてやり残したことを片付け、最高の思い出を作ってから故郷の星へ帰ることでした。

【承】宇宙人のあいつ

地球を去るまでの3日間、日出男は兄妹たちに「人間としてやり残したこと」への協力を求めます。
それは、長女・想乃の職場に乗り込んで一方的に恋のキューピッド役を買って出たり、浮気の証拠を掴みたい長男・夢二のために探偵まがいの尾行を手伝ったり、売れないミュージシャンである三男・詩文に独特すぎるアドバイスを送ったりと、どれも宇宙人ならではのズレた感覚で行われるため、事態はかえって混乱し、騒動ばかりが大きくなっていきます。
兄妹たちはそんな日出男に振り回されながらも、彼の突飛な行動を通じて、それぞれが抱えていた問題や見て見ぬふりをしてきた本心と向き合わされていきます。
日出男の存在は、停滞していた真田家の日常をかき乱す起爆剤となり、忘れかけていた家族の絆を少しずつ思い出させていくのです。

【転】宇宙人のあいつ

別れの日が近づくにつれ、兄妹たちは日出男が本当にいなくなってしまうという現実に直面し、寂しさを募らせていきます。
そんな中、家族の思い出の場所である焼肉屋で、日出男は衝撃の事実を告白します。
兄妹たちとの時間はあくまで生態調査の一環であり、感情はなく、すべての記憶はデータとして収集しているに過ぎないと冷徹に言い放つのです。
この言葉に兄妹は深く傷つき、彼との間に決定的な溝が生まれてしまいます。
しかし、日出男の行動の端々には、データ収集だけでは説明できない人間的な感情の揺らぎが確かに見え隠れしていました。
彼自身も、プログラムされた任務と、23年間で芽生えた予期せぬ感情との間で葛藤し、自らの変化に戸惑っていたのです。
そしてついに、彼を迎えに来る宇宙船の到着時刻が迫り、最後の時が訪れます。

【結】宇宙人のあいつ

別れの当日、日出男が地球を去ることを受け入れた兄妹たちは、それぞれの方法で彼を見送る準備をします。
これまでバラバラだった家族の心は、日出男という共通の喪失感を前にして、再び一つに繋がろうとしていました。
宇宙船が待つ場所へ向かう道中、日出男はついに抑えきれない本心を吐露します。
焼肉屋での冷たい言葉は嘘で、本当は帰りたくない、ずっとこの家族と一緒にいたいと涙ながらに訴えるのです。
それは、彼が家族から学んだ、相手を思いやるための不器用な「嘘」でした。
しかし運命は変えられず、日出男は光に包まれ宇宙へと帰っていきます。
残された兄妹は、彼が残した膨大な「家族の記録」データの中に、自分たちへの愛情が確かに存在したことを知り、涙します。
日出男がいなくなった後も、真田家は彼の思い出と共に、少しだけ強く、優しくなった日常を歩み始めるのでした。

宇宙人のあいつの感想

「家族とは何か」という普遍的なテーマを、宇宙人というSF設定を通して描いた意欲作です。
血の繋がりや理屈ではなく、共に過ごした時間や記憶の積み重ねこそが家族を形成するという温かいメッセージが心に響きました。
飯塚健監督特有の軽妙な会話劇と巧みな伏線回収は健在で、寂れた町工場や焼肉屋といった日常空間で繰り広げられるSFというギャップが独特の可笑しみを生んでいます。
特筆すべきは、主人公・日出男を演じた中村倫也さんの演技です。
感情を抑制した宇宙人役でありながら、無表情の奥にある戸惑いや寂しさ、そして芽生え始めた愛情を繊細に表現しており、見事でした。
伊藤沙莉さん、日村勇紀さん、柄本時生さんとのアンサンブルも絶妙で、まるで本物の兄妹のような空気感を作り出していました。
焼肉屋で感情がないと突き放すシーンと、最後に本心を吐露するシーンの対比が最も印象的で、彼の内面の変化に涙を誘われます。
たくさん笑った後に、じんわりと心に沁みる切なさと温かさが残る、後味の良い作品でした。

宇宙人のあいつのおすすめ理由

中村倫也の感情を排した宇宙人役の絶妙な演技と、彼を取り巻く伊藤沙莉、日村勇紀、柄本時生との化学反応が素晴らしいためです。
飯塚健監督らしいテンポの良い会話劇と、笑いの中に巧みに仕込まれた伏線、そして最後にはきっちりと感動させる脚本の構成力が見事です。
SFコメディというジャンルでありながら、「家族の絆」という普遍的で温かいテーマを描ききっており、笑いと涙のバランスが絶妙なことから、多くの人が楽しめる良作だと評価しました。

宇宙人のあいつのその他情報

第27回ファンタジア国際映画祭の長編映画コンペティション部門に出品されました。
商業的に大ヒットした作品ではありませんが、飯塚健監督と豪華キャスト陣のタッグが公開前から話題となり、観客からは「笑って泣ける」「俳優陣のアンサンブルが最高」といった好意的な口コミが多く寄せられ、ミニシアター系の作品としては高い評価を獲得しました。

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