マイノリティ・リポート (2002) ネタバレあらすじ紹介

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マイノリティ・リポートのあらすじ紹介

【起】マイノリティ・リポート

2054年のワシントンD.C.が舞台です。
プリコグと呼ばれる3人の予知能力者が見る未来の殺人予知に基づき、犯罪予防局(プリ・クライム)が犯人を事前に逮捕するシステムが稼働しています。
チーフのジョン・アンダートンは、かつて息子を失った過去からこのシステムを信奉し、数々の犯罪を未然に防いできました。
システムは完璧とされ、全国導入に向けた国民投票も間近に迫っています。
司法省から調査官のダニー・ウィットワーが派遣され、プリ・クライムのシステムに欠陥がないか調査を開始しますが、アンダートンは彼に不信感を抱きます。
完璧に見えた犯罪予防システムが、実は見えないところで軋み始めている序章が描かれます。

【承】マイノリティ・リポート

ある日、アンダートンはプリコグの予知映像の中に、自身がレオ・クロウという見ず知らずの男を殺害する未来を見てしまいます。
信じていたシステムによって追われる身となったアンダートンは、プリ・クライムから逃走します。
彼はシステムの考案者であるアイリス・ハイネマン博士を訪ね、プリコグの予知には稀に意見の相違が生じることがあり、その際に少数意見、すなわち「マイノリティ・リポート」が生成される可能性があることを知ります。
しかし、そのレポートはプリコグの一人、アガサの中にしか存在しないと聞かされ、アンダートンはシステムそのものへの疑念を深めながら、自らの無実を証明するため、プリ・クライム施設への潜入を決意します。

【転】マイノリティ・リポート

アンダートンはプリコグの中でも最も能力の高いアガサを連れ出して逃亡します。
アガサの断片的な予知に導かれ、彼は予言された殺害現場であるレオ・クロウの部屋にたどり着きます。
そこで彼は、自分の失踪した息子の写真が部屋中に貼られているのを発見し、クロウが息子の誘拐犯であると確信し殺意を抱きます。
しかし、予言された時刻が迫る中、アンダートンは殺人を思いとどまります。
その瞬間、クロウは自分が息子の殺害犯ではなく、アンダートンの家族を殺すことで報酬を得るよう雇われた男だと告白し、アンダートンに殺されることで家族に金が渡るよう懇願し、自ら引き金に手をかけ自殺してしまいます。
これにより、予知はアンダートンの殺意を予見したものであり、未来は変えられるという事実が示唆されますが、彼は殺人犯として追われることになります。

【結】マイノリティ・リポート

アンダートンは妻の元に身を寄せますが、ウィットワーに発見され逮捕されます。
しかしウィットワーはクロウの死の真相を探る中で、プリ・クライムの創設者であるラマー・バージェス局長が、かつてアン・ライブリーという女性を殺害していた事実を突き止めます。
ライブリーはアガサの母親であり、娘を取り戻そうとしたためバージェスに殺害されたのです。
バージェスはこの殺人を隠蔽するため、予知システムを悪用していました。
ウィットワーがバージェスに真相を突きつけた直後、彼は殺害されます。
その後、バージェスはアンダートンを殺害しようとしますが、その殺意がプリコグに予知されます。
全国導入を祝う式典の場で、バージェスはアンダートンから「システムを存続させるために私を殺すか、システムが破綻することを認めて逮捕されるか」という究極の選択を迫られ、自らのこめかみに銃を当てて自殺します。
結果、システムの欠陥が露呈し、プリ・クライムは解体。
囚人たちは釈放され、プリコグたちは静かな場所で余生を送ることになりました。
アンダートンは妻とよりを戻し、新たな子供を授かります。

マイノリティ・リポートの感想

この映画は「完璧な安全と引き換えに、人は自由意志を放棄できるのか」という重厚なテーマを、極上のSFサスペンスとして描き切った傑作です。
未来を予知し犯罪を未然に防ぐプリ・クライムシステムは、一見すると理想郷のようですが、その根幹には個人の選択の可能性を奪うという恐ろしい矛盾をはらんでいます。
スピルバーグ監督による、ジェスチャーで情報を操作するシーンや個人に最適化された広告が溢れる未来世界のビジュアルは、今見ても斬新で観る者の想像力を掻き立てます。
追われる主人公の焦燥と葛藤を体現したトム・クルーズの熱演はもちろん、予知能力者アガサを演じたサマンサ・モートンの神秘的かつ痛々しい存在感もスクリーンに深みを与えています。
特に、アンダートンが予言された殺人を実行するか否かの瀬戸際に立たされるシーンは、本作のテーマ性を象徴しており、強烈な印象を残しました。
鑑賞後は、スリリングな物語への満足感と共に、テクノロジーと倫理の境界線について深く考えさせられる、知的興奮に満ちた時間を過ごせました。

マイノリティ・リポートのおすすめ理由

フィリップ・K・ディックの難解な原作を、エンターテインメント性と哲学的テーマを両立させた脚本・演出で見事に映像化している点を高く評価します。
トム・クルーズの体を張ったアクションと、葛藤する主人公の内面を見事に表現した演技も素晴らしいです。
また、今見ても色褪せない独創的な未来世界のビジュアルデザインと、それが示唆する未来社会への警鐘は、本作を単なる娯楽作以上のものにしています。
単純な勧善懲悪に終わらない、観る者に「正義とは何か」「自由とは何か」を問いかける物語の深さも、高評価に至った理由です。

マイノリティ・リポートのその他情報

第75回アカデミー賞において音響編集賞にノミネートされました。
また、サターン賞ではSF映画賞、監督賞、脚本賞、助演女優賞(サマンサ・モートン)の4部門を受賞するなど、批評家から高い評価を受けています。
興行的にも批評的にも成功を収め、21世紀のSF映画を代表する一作として広く認識されています。

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