作品情報
- グリーンブック
- 製作年：2018
- 洋画
- 製作年：2018
- 上映時間：130分
- カテゴリ：ドラマ, 伝記, コメディ
- 監督：ピーター・ファレリー
キャスト
グリーンブックのあらすじ紹介
【起】グリーンブック
1962年のニューヨーク、ナイトクラブで用心棒として働くイタリア系アメリカ人のトニー・“リップ”・ヴァレロンガは、店の改装による一時解雇で仕事を探していました。
そんな彼に舞い込んだのは、天才黒人ピアニストであるドクター・ドナルド・シャーリーの運転手兼用心棒として、人種差別が根強く残るアメリカ深南部への演奏ツアーに同行するという仕事でした。
黒人への偏見を隠さないトニーでしたが、家族を養うための高額な報酬に惹かれ、この仕事を引き受けることを決意します。
こうして、育ちも性格も全く異なる二人の、8週間にわたる旅が始まるのです。
旅の必需品は、当時黒人が利用できる施設を記したガイドブック「グリーンブック」でした。
【承】グリーンブック
ツアーが始まると、粗野でがさつなトニーと、知的で気品あふれるシャーリーはあらゆる面で衝突します。
トニーはフライドチキンを手づかみで食べ、シャーリーに無理強いする一方、シャーリーはトニーが妻に宛てて書く手紙の稚拙さを指摘し、詩的な表現を教え込みます。
旅が進むにつれて、二人は南部の厳しい現実に直面します。
シャーリーはコンサートではスタンディングオベーションを受ける天才芸術家でありながら、白人と同じレストランでの食事やトイレの使用を拒否されるという理不尽な差別に晒されます。
トニーは「グリーンブック」を頼りに旅を続けながら、シャーリーが直面する屈辱的な状況を目の当たりにし、彼の中にあった人種的偏見は徐々に変化し、シャーリーを守るという使命感が芽生え始めます。
【転】グリーンブック
旅の後半、二人の関係を決定的に変える事件が起こります。
ある夜、シャーリーは白人男性との同性愛行為を警察に見つかり不当に逮捕されてしまいます。
トニーは警官に賄賂を渡して彼を釈放させますが、この出来事を通じて、シャーリーが抱える深い孤独と、白人の世界にも黒人の世界にも属せないという苦悩を深く理解します。
「裕福な私は黒人たちから見れば白人だ。
だが白人の前ではただのニガー。
だからもし私が黒人でもなく、白人でもなく、男でもないのなら、教えてくれトニー、私は一体何なんだ？」というシャーリーの魂の叫びは、トニーの心を激しく揺さぶりました。
そしてツアー最終日、シャーリーは演奏予定のレストランで食事をすることを拒否されます。
彼の尊厳が踏みにじられたことに激怒したトニーは契約を破棄。
二人はその場を去り、近くの黒人専用のブルースバーへと向かうのです。
【結】グリーンブック
黒人専用のバーで、シャーリーは客たちのリクエストに応え、クラシックではなく情熱的なブルースを披露し、店内の人々から万雷の拍手を浴びます。
この経験は、彼が自身のルーツと向き合い、アイデンティティの一部を受け入れる重要な瞬間となりました。
その後、二人はクリスマスイブに間に合うよう、大雪の中をニューヨークへ急ぎます。
道中で警察に止められますが、それはタイヤのパンクを知らせるための親切心からでした。
疲れ果てたシャーリーに代わりトニーが運転を続け、無事に彼を自宅へ送り届けます。
別れ際、二人は互いを名前で呼び合い、固い友情を確かめ合いました。
トニーが家族の待つクリスマスパーティーに戻ると、そこにシャーリーが訪れます。
トニーの家族は温かく彼を迎え入れ、人種や階級を超えた友情が、周囲の人々の心をも溶かしていく希望に満ちたラストで物語は幕を閉じます。
グリーンブックの感想
人種や階級という根深い断絶を越えて育まれる友情という普遍的なテーマが、観る者の心を強く打つ感動的な作品です。
重いテーマを扱いながらも、主演二人のコミカルな掛け合いが絶妙なスパイスとなり、笑いと涙のバランスが素晴らしい脚本でした。
1960年代アメリカの雰囲気を見事に再現した映像美や、ドクター・シャーリーの心情を映し出すかのようなピアノの旋律も心に残ります。
特に、粗野だが人間味あふれるトニーを演じたヴィゴ・モーテンセンと、知的で繊細、そして孤独を纏うシャーリーを体現したマハーシャラ・アリの演技は圧巻で、二人の化学反応こそが本作の最大の魅力です。
雨の中でシャーリーが自身のアイデンティティへの苦悩を吐露するシーンは、彼の魂の叫びが聞こえるようで胸が締め付けられました。
鑑賞後は、人間の尊厳と優しさについて深く考えさせられると同時に、心がじんわりと温かくなるような深い感動に包まれました。
グリーンブックのおすすめ理由
人種差別という重いテーマを扱いながらも、決して説教的にならず、ユーモアと感動に満ちたエンターテイメントとして見事に昇華させた脚本と演出が秀逸です。
何よりも、ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリという二人の名優が織りなす化学反応が素晴らしく、彼らの演じるキャラクターの成長と友情の深化に心から引き込まれます。
実話に基づいているからこそのリアリティと説得力があり、鑑賞後には温かい感動と、他者への理解と思いやりについて深く考えさせられます。
あらゆる点で完成度が極めて高く、誰にでも自信を持って勧められる傑作であるため、4.8という高評価としました。
グリーンブックのその他情報
第91回アカデミー賞において、最高の栄誉である作品賞に加え、助演男優賞（マハーシャラ・アリ）、脚本賞の主要3部門を受賞しました。
また、第76回ゴールデングローブ賞では、作品賞（ミュージカル・コメディ部門）、助演男優賞、脚本賞の3冠を達成するなど、数々の映画賞を総なめにしました。
批評家からの評価も非常に高く、世界中の観客から愛される作品となり、興行的にも大きな成功を収めました。
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