バケモノの子 (2015) ネタバレあらすじ紹介

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バケモノの子のあらすじ紹介

【起】バケモノの子

母を亡くし、父とは離れて暮らす9歳の少年・蓮は、親戚に引き取られることを拒んで渋谷の街を彷徨います。
孤独と絶望の中で裏路地に迷い込んだ蓮は、人間界とは別に存在するバケモノの世界「渋天街」に足を踏み入れます。
そこで彼は、粗暴で乱雑ながらも強さを求めるバケモノ・熊徹と出会います。
渋天街の次期宗師を決める闘技会への出場を目指す熊徹は、宗師の条件である「弟子を持つこと」を満たすため、人間である蓮を弟子に取ると宣言し、「九太」という新しい名前を与えます。
行くあてのない九太は、反発しながらも熊徹のもとで暮らすことを決意し、奇妙な師弟関係が始まります。
二人は性格も種族も全く異なりますが、互いの孤独を埋め合うかのように、いがみ合いながらも共同生活を送ることになるのです。

【承】バケモノの子

九太は熊徹の家で暮らし始めますが、師であるはずの熊徹は教えることが全く下手で、二人の修行は喧嘩ばかりの日々です。
しかし、熊徹の動きを真似することで強くなる方法を見出した九太は、彼の全てを吸収しようと必死に鍛錬を重ねます。
熊徹もまた、九太に教える中で、他者との関わり方を学び、精神的に成長していきます。
豚のバケモノ・多々良や猿のバケモノ・百秋坊に見守られながら、二人はぶつかり合い、時に支え合いながら、本当の親子のような強い絆を育んでいきました。
九太はたくましい青年に成長し、熊徹は渋天街の誰もが認める実力者となっていきます。
そして、宗師候補のもう一人である、品行方正で多くの弟子を持つ猪王山との決戦の日が刻一刻と近づいていました。

【転】バケモノの子

17歳になった九太は、ある日偶然、人間界の渋谷へと戻る道を見つけます。
そこで彼は、図書館で高校生の少女・楓と出会い、読み書きを教わる中で人間界の知識や文化に触れ、自身の出自や未来について深く思い悩むようになります。
自分が何者なのか、バケモノの世界で生きるべきか、人間の世界に戻るべきか、九太の心は大きく揺れ動きます。
そんな中、行方不明だった実の父親とも再会し、大学進学を勧められます。
一方、渋天街では宗師を決める闘技会が始まり、熊徹はライバルの猪王山と激闘を繰り広げます。
しかし、その闘いの最中、猪王山の息子である一郎彦が、心の闇に飲み込まれて暴走。
彼の正体が、かつて猪王山に拾われた人間であり、九太と同じく心に闇の穴を抱えていることが明らかになります。

【結】バケモノの子

一郎彦は、父親への歪んだ愛情と九太への嫉妬から生まれた巨大な闇の化身となり、鯨の姿で渋谷の街を破壊し始めます。
九太は人間界を守るため、楓と共に一郎彦に立ち向かいますが、その強大な力の前に追い詰められます。
絶体絶命の状況で、熊徹は究極の選択をします。
自らが神に転生し、九太の心の闇を埋める「胸の中の剣」となることを決意するのです。
熊徹は九太の心と一体化し、その力を得た九太は一郎彦の心の闇を打ち破り、彼を救い出すことに成功します。
戦いが終わり、九太は人間界で父と共に生きる道を選びます。
しかし彼の胸の中には、師であり父であった熊徹が剣として常に共にあり、彼を支え続けるのでした。
九太は楓と共に大学を目指し、新たな人生の一歩を踏み出します。

バケモノの子の感想

「血の繋がりを超えた師弟愛・親子愛」というテーマが、孤独な少年と不器用なバケモノの交流を通して力強く描かれており、胸を打ちます。
誰もが心に持つ「闇」といかに向き合うかという普遍的な問いかけも、深く心に響きました。
細田守監督特有のダイナミックなアクションシーン、特に渋谷のスクランブル交差点でのクライマックスは圧巻の映像美です。
現実の渋谷とファンタジー世界「渋天街」がシームレスに繋がる演出は秀逸で、音楽も物語の高揚感を見事に高めていました。
熊徹役の役所広司さんの、粗暴ながらも愛情深い演技はまさに圧巻で、キャラクターに命を吹き込んでいます。
最も印象的なのは、熊徹が九太の「胸の中の剣」になることを決意するシーンです。
「お前が闇に飲み込まれそうになったら、俺がお前の心の剣になってやる!」というセリフは、自己犠牲と究極の愛を象徴しており、涙なしには見られません。
孤独だった二人が出会い、ぶつかり合いながらも唯一無二の絆を築いていく過程に、温かい感動と興奮を覚えました。
成長と自立、そして別れという切なさを乗り越える姿は、明日を生きる勇気を与えてくれる作品です。

バケモノの子のおすすめ理由

血の繋がりを超えた親子愛という普遍的なテーマを、ファンタジーとアクション満載のエンターテインメントとして昇華させている点を高く評価します。
渋谷という現実の街を舞台にしたクライマックスのスペクタクルは、アニメーションならではの表現の極致であり、観る者を圧倒します。
一方で、九太と楓の関係性の描写がやや駆け足に感じられる部分や、一郎彦の闇の動機付けに若干の唐突さを感じる点もあり、満点には至りませんでしたが、それを補って余りある感動とカタルシスを与えてくれる傑作です。

バケモノの子のその他情報

第39回日本アカデミー賞 最優秀アニメーション作品賞を受賞。
スペインのシッチェス・カタロニア国際映画祭でアニメーション部門の最優秀長編作品賞を受賞するなど、国内外で高い評価を獲得。
興行収入も58.5億円を記録する大ヒットとなり、細田守監督の代表作の一つとして広く認知されています。

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